日本の産業界では、原材料から製品を作る過程で生じる副産物をゴミ(廃棄物)として捨てない努力を行なっています。
循環型社会の形成のために、3R(Reduce、Reuse、Recycle)という言葉がありますが、

(1)Reduce:発生した副産物を出来るだけ社内外で活用(Recycle)して、最終的な廃棄物を減らします
(2)Reuse:リターナブルビンに代表されるように、製品を繰り返し使用します
(3)Recycle:容器包装リサイクル法により、家庭で不用になったプラスチックは産業界で再利用されます

「資源リサイクル」の特集では、産業界の取り組みを取り上げていきますが、鉄鋼業を例にとると、以下の取り組みを行なっています。

1、鉄鉱石(鉄分が60%)から鉄を製造するときに、鉄分以外の副産物が発生します。この副産物は、セメント用に使用(Recycle)し、最終的な廃棄物を減らします(Reduce)
2、他産業で発生した廃プラスチックも、コークス炉(石炭を乾留してコークス製造設備)に投入して、100%資源として活用しています。(Recycle)
  • 2014/02/05

    資源循環型産業としての製紙産業(3つのリサイクル)

    はじめに

     製紙産業は再生可能な木材を原料として紙を製造しているが、一部には、森林を破壊して紙づくりをしているという誤解も後を絶たない。 続きを読む

  • 2013/09/25

    製鋼スラグと海域環境改善(カルシア改質技術の紹介)

     鉄鋼スラグは製鉄工程から発生する石や砂利状の副産物で、国内では年間約4,000万t(約2,000万m3)生産され、製銑工程から生じる「高炉スラグ」と製鋼工程から生じる「転炉系製鋼スラグ(以下、製鋼スラグ)」の2種類があります。このうち「製鋼スラグ」は年間約1,100万t(約500万m3)を占め、従来より、路盤材や地盤改良材などの土木資材として広く活用されていますが、近年、新たな用途として軟弱浚渫土の改質とその利用を目的とした技術が開発、実用化され、普及しつつあります。 続きを読む

  • 2013/09/17

    鉄鋼業における廃プラスチックリサイクルの取り組み

    1. 容器包装リサイクル法(以下:容リ法と略)における鉄鋼業の位置づけ

     容リ法は平成12年4月から完全施行された。図1に法の概念図を示す。「指定法人:(財)日本容器包装リサイクル協会(以下:容リ協と略)」が、自治体毎に収集される分別収集物とリサイクル費用を管理する。まず、消費者は自治体が決める分別区分(ビン、缶、PETボトル、プラスチック製容器包装)毎に分別排出する。 続きを読む

  • 2013/08/28

    昆布と鉄鋼スラグ
    -9年目を迎えた藻場造成への取り組み-

     平成25年7月6日の北海道新聞によれば「本年度の道内昆布生産量は1.6万トンで、前年度に比べ14%減の見通しとなったことが道漁連の調査で判明した」と報道された。にもかかわらず、北海道の日本海側、石狩と留萌の間に位置する増毛町の舎熊海岸はこの6月、写真1のように浜一面・沖合50m程度まで豊かに昆布が繁茂している。この海岸にはかつての昆布場を造成するための地元増毛漁業協同組合などによる発酵魚粉を始めとした施肥の取り組みの一環として、平成16年の秋に鉄鋼副産物を用いた「鉄分供給ユニット」が埋設されている。 続きを読む

  • 2013/08/19

    地球にやさしい高炉セメント

     鉄鋼業では、高炉工程で鉄鉱石を還元して銑鉄を作り、さらに製鋼工程で銑鉄を成分調整して鋼を製造します。銑鉄や鋼を作る際、副産物として鉄鋼スラグが発生し、高炉工程で発生する高炉スラグ、及び製鋼工程で発生する製鋼スラグに大別されます。こうした鉄鋼スラグも、鋼材と同様に用途に応じてさらに加工し、鉄鋼スラグ製品として出荷しています。鉄鋼スラグ製品の最も多い用途が、高炉セメントです。 続きを読む