電力システム改革論を斬る!
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2014/03/26
容量メカニズムに関する制度設計WGでの議論で整理が必要なこと(第3回)
既設電源と新設電源を区別すべきか第5回制度設計WGの事務局資料によると、第4回WGにおいて、委員から「容量市場(容量メカニズム)については、老朽化した既設電源が多く落札するなど、海外では必ずしも新規の電源設置のインセンティブになっていないという報告もある。入札の対象を制限する、償却期間に応じて価格に傾斜をつけるなどの工夫が必要ではないか。」という意見があった。 続きを読む
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2014/03/20
容量メカニズムに関する制度設計WGでの議論で整理が必要なこと(第2回)
容量メカニズムはどのようにして電力供給コストを下げるか第1回に引き続き、第5回制度設計WGにおける、容量メカニズムに関する議論を取り上げる。具体的には、大橋委員(東京大学大学院経済学研究科教授)による次の発言である。 続きを読む
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2014/03/13
容量メカニズムに関する制度設計WGでの議論で整理が必要なこと(第1回)
広域メリットオーダーとの関係1月20日、電力システム改革の制度設計を議論する制度設計WGの第5回が開催された。開催の主目的は、電力システム改革の第2段階に相当する、電力小売全面自由化等を規定する電気事業法改正案の法律事項の議論である。WGは、第5回で一段落となり、電気事業法改正案は、2月28日に閣議決定され、国会に提出された。 続きを読む
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2014/02/27
ミッシングマネー問題と容量メカニズム(第3回)
容量メカニズムの制度設計に向けて第2回では、電力システム改革が進行している日本における容量メカニズム導入の意義について説明した。今回は、想定される制度を前提に、制度設計にあたっての論点を整理・考察する。 続きを読む
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2014/02/20
ミッシングマネー問題と容量メカニズム(第2回)
ミッシングマネー問題対策としての容量メカニズム、日本における意義第1回では、ミッシングマネー問題が起きる仕組みについて説明した。今回は実際の市場で起こっていることとしてテキサス州の事例を紹介する。その後、電力システム改革が進行している日本における容量メカニズム導入の意義について考察する。
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2014/02/10
ミッシングマネー問題と容量メカニズム(第1回)
ミッシングマネー問題はなぜ起こるか電力システム改革を行った諸外国において、最近クローズアップされているミッシングマネー問題と、その対策として議論が活発化している容量メカニズムについて、3回に分けて整理してみたい。初回は、ミッシングマネー問題が起きる仕組みについて説明する。
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2013/09/06
再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)の見直しは可能か
2012年7月に再生可能エネルギーの固定価格買取制度(いわゆるFIT)がスタートして1年間余りが経過した。法施行後の3年間は再エネの加速的普及をはかるために発電事業の利潤が政策的観点から適正以上に上乗せされ、太陽光発電の買取単価が諸外国の水準を大きく上回る設定とされるなど、急速な再エネ拡大に向けた期待が集まる一方で、将来的な国民負担増大への懸念も残されている[1]。 続きを読む
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2013/07/31
需要側のスマート化で計画停電を防げるか
2011年3月11日に発生した震災直後の計画停電と同年夏に実施された電力使用制限は、わが国の電力システムのあり方に疑問を投げかけ、今回の電力システム改革のきっかけとなった。2012年7月に政府が公表した「電力システム改革の基本方針」では「電力使用制限や計画停電などの強制措置ではなく、価格シグナルが働き、市場で需給が調整されるシステムへと転換する。」とされているが、その後の電力システム改革専門委員会ではむしろ発送電の法的分離が論点として大きく取り上げられ、計画停電など強制措置の回避策については、価格シグナルや市場の活用という以上に議論が深まることはなかった。 続きを読む
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2013/06/13
電力カラーリングへの期待と誤解
1.電力カラーリングが実現するサービス
映画好きのAさんは最近、自宅に大画面テレビとホームシアターの設備を備えつけた。「大型テレビは電気の消費が増えるからエコじゃないね」と友人に揶揄されたAさん、「我が家の大画面テレビの電気は、北海道の稚内にある風力発電所から届いたものなんだよ」と得意気だ。 続きを読む
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2013/06/03
容量市場設立に関わる技術的課題(続)
前回のコラムでは「容量市場設立に関わる技術的課題」として、米国の状況(特にPJM)などを念頭に、今回の電力システム改革に関わる制度設計上の留意点を概説した。今回はわが国の実情を踏まえてさらに一歩踏み込んで課題を整理したい。
1.需要想定の主体は誰か
将来必要となる発電設備量を考える上での基礎となるのは需要想定である。 続きを読む
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2013/05/16
容量市場設立に関わる技術的課題
政府の電力システム改革専門委員会の報告書は、電力市場を全面自由化した際に市場全体として適切な供給予備力を維持するための仕組み(以下では「容量メカニズム」)を提案しており、その大枠は以下の通りである。 続きを読む
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2013/04/16
望ましい電力供給構造
(はじめに)
エネルギーの供給に際しては、安定供給、環境調和、経済性の所謂3Eの達成が重要であるが、電力分野において3Eの実現を図るためには、適切な発電設備の構成と運用(望ましい電力供給構造の構築)を図ることが必要である。 続きを読む
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2013/04/09
ドイツで自由化による電気料金引き下げは観察できるか
以前、本研究会の論考の一つとして取り上げた八田達夫著「電力システム改革をどう進めるか」の書評について、今般、著者御本人から丁寧なご指摘をいただいた。指摘の内容は、著作の中で「ドイツで自由化による電気料金引き下げは観察できるか」について説明している部分について、引用が不適切で著者の本来の主張と異なる解釈に基づいた論評となっているとのことであり、国際環境経済研究所の判断で当該書評は削除されている。著者には深くお詫びを申し上げる。 続きを読む
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2013/04/02
停電と発送電分離を論じるための基礎知識
発送電分離を主張する論者が、「発送電分離をしても停電は増えない」と主張するのを時々見かけるが、論点がずれていると感じることが多い。おそらく、停電が起こる原因が何かとか、日本で停電が少ないのはなぜかといった点の理解が欠けているためと思われる。
停電のほとんどは送配電設備の故障によるもの
停電が起こる理由は大きく二つある。 続きを読む
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2013/03/07
なぜ今、電力システム改革を行うのか?
仙谷由人「エネルギー・原子力大転換:電力会社、官僚、反原発派との交渉秘録」影の実力者、仙谷由人氏が要職をつとめた民主党政権。震災後の菅政権迷走の舞台裏を赤裸々に仙谷氏自身が暴露した。福島第一原発事故後の東電処理をめぐる様々な思惑の交錯、脱原発の政治運動化に挑んだ菅元首相らとの党内攻防、大飯原発再稼働の真相など、前政権下での国民不在のエネルギー政策決定のパワーゲームが白日の下にさらされる。 続きを読む
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2013/03/01
二兎を追った先にある悲劇
—電力自由化と再生可能エネルギー促進の同時追求をしたドイツ—先ごろドイツの有力紙Die Weltのインターネット版(2013/1/10)に、「忍び寄る電力供給の国有化」と題する記事が掲載された。脱原子力と再生可能エネルギーの大幅拡大という「エネルギー転換」(Energiewende)を果敢に進めるドイツで、なぜ「電力供給の国有化」なのだろうか。Die Welt紙は「エネルギー転換はコストを度外視すれば成功するだろう。しかし政府が助成や優遇措置により現在の電力市場に介入すればするほど、電力システムは収拾がつかなくなる」と述べている。ドイツの電力システムで今、何が起きているのか。 続きを読む
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2013/01/25
続・発送電分離の正しい論じ方
政権交代後、しばらく休止状態であった電力システム改革専門委員会が1月21日(月)、再開された。報道では、政府は2月までに、本件について何らかのとりまとめを行う意向と伝えられている。前回記事でも触れたが、これまで委員会で出た意見の中には、雑なものも散見されるので、とりまとめの前に検証することも有意義と考える。 続きを読む