短期的な電力需給マネージメント一覧

  • 2011/06/13

    正しい節電で、楽しく気楽に生活する

     東京電力や東北電力管内では7月から、夏期の使用最大電力の15%削減が始まるが、これに向けて、企業でも家庭でも、さまざまな取り組みが始まっている。廊下やエレベータホールの消灯はもちろん、工場の操業の見直し、さらには西日本への生産移管やデータセンターの移設などである。 続きを読む

  • 2011/05/09

    賠償額を上回る燃料費負担増が電気料金を押し上げる

     朝日新聞は5月3日の朝刊の1面で、「原発賠償4兆円案」とのタイトルで「東電分2兆円、料金16%上げ」と報じた。東京電力の負担額が2兆円であり、これを10年間にわたって負担するために、電気料金が16%上昇するとの内容だ。

     東電の2009年度の電気料金収入は4兆5000億円ある。16%の値上げを行えば収入増は7000億円強となり、毎年の東電負担額2000億円をはるかに超える収入となる。しかし、記事では「賠償資金を確保するため16%の値上げになる見通しだ」とあるのみで、金額の整合性に関する説明はない。

     一方、同じ記事中で「火力発電の燃料費増を年間約1兆円とみている」とも報じている。この数字が正しければ、燃料費の増加は賠償額を大幅に上回ることになる。燃料費は本当に1兆円増えるのだろうか。まず、燃料費増の計算根拠を推測してみたい。

     燃料費の増加の理由は、当面、原子力発電が難しくなり、その落ち込み分を火力発電で補わなければならないからだ。

     発電が困難になる原発には二種類ある。一つは、既存の福島第一原子力発電所であり、もう一つは新設予定の原発である。福島第一原発からの2009年度の発電量は330 億kW時であった。一方、新設予定の原発は福島第一原発7,8号機、東通原発1号機の3基であり、設備能力の合計は約415万kWだ。全基が稼働する2017年には、稼働率を80%と仮定すると、発電量が290億kW時となる。

     この2種類の原発の発電分を、新増設が比較的容易な石油火力と天然ガス火力で50%ずつ代替すると、1年間に重油650万t、天然ガス410万tが必要になる。ちなみに二酸化炭素(CO2)排出量は、合わせて、年間4100万t増加する。過去、低硫黄分のA重油価格が最も高かったのは2008年秋であり、1t当たり12万円を超えていた。また同時期に、天然ガスの輸入価格も最高値の1t当たり8万円を記録している。

  • 2011/04/18

    「節電生活」定着で電力需要は抑制できるか?

     東日本大震災により多くの発電所が被災し、東京電力、東北電力は十分な電力供給を行えなくなった。日本では、燃料受け入れの関係から火力発電所は海岸沿いに立地せざるを得ず、今回のような広範囲の津波では、多くの発電所が一度に被災することになる。

     4月11日時点で停止している発電所の供給能力は、表の通り合計で2600万kWを超えている。東電、東北電の保有設備能力と両電力に供給を行っている共同火力などの合計の設備能力は約1億kWなので、今回の震災で4分の1の発電能力が失われたことになる。

     この状況では当然、電力供給に問題が生じる。被災した発電所の復旧は、荷揚げ設備が比較的シンプルな石油系の火力が早く、石炭系が遅いのではないかと想像されるが、津波の被害を受けた大半の火力発電所の復旧には少なくとも半年程度は必要だろう。また、原子力発電所については、再開に際し地元の理解を得るのに相当程度の期間が必要と考えられる。

     仮に、火力発電所が半年間停止すれば、これらの発電所からの二酸化炭素の排出量は2000万t以上減少する。燃料の使用がなくなるので、当然の減少だ。