執筆者:手塚 宏之
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2017/10/20
日本でカーボンプライシングの導入は有効か
(「エネルギー・資源」2017年9月号からの転載)
1.はじめに
気候変動対策の国際的な枠組みとして2015年に合意された「パリ協定」では、各国が自主的に目標(NDC)を掲げ、その達成に向けた施策を実施していくこととされている。 続きを読む
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2017/08/30
環境省「長期低炭素ビジョン」解題(3)
「長期低炭素ビジョン(素案)」に関する論点
そして本年2月に入り、いよいよこれまでの議論を集約した61ページに及ぶ「長期低炭素ビジョン」の素案注1)が事務局より提示された。 続きを読む
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2017/08/22
環境省「長期低炭素ビジョン」解題(1)
ビジョン小委員会の審議経緯
本年3月、環境省が管轄する中央環境審議会地球環境部会は「長期低炭素ビジョン」(以下「ビジョン」と略す)を発表した。 続きを読む
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2016/06/29
「気候関連財務ディスクロージャー」の課題(2)
2.座礁資産の定義は前提次第で流動的
パリ協定が合意され、そこで「今世紀後半までにGHGの排出と吸収をバランスさせるべく、急速な削減を行う」ことが明記されたこと受け、長期的に化石燃料の使用、特に最もCO2排出の大きな石炭の使用を禁止することが必要、 続きを読む -
2016/06/27
「気候関連財務ディスクロージャー」の課題(1)
はじめに
最近、企業が年次財務報告書と併せて「CSR報告書」や「環境報告書」を発行し、ステークホルダーに対して、環境やサステイナビリティに関する情報開示や理解活動を行うことが当たり前になっている。 続きを読む
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2016/04/21
今そこにある危機:英国のグリーン政策で鉄鋼産業は絶体絶命に
タタ・スチールの放った衝撃
3月30日、英国の政財界に激震が走った。インドの鉄鋼大手タタ・スチールの取締役会がムンバイで開かれ、同社が持つ英国の鉄鋼事業を売却処理するとの決議を行ったと発表したのである。 続きを読む
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2016/02/25
「炭素価格」を廻る論考(第3回)
~日本に炭素価格はないのか?~※【「炭素価格」を廻る論考(第1回)(第2回)~日本に炭素価格はないのか?~】
高率炭素税提案の見落としているもの
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2015/06/04
約束草案提出にあたっては京都議定書の悪夢再来を避けよ
~米国の約束草案は検証・実現不可能?~6月2日、政府は地球温暖化対策推進本部において我が国の温暖化対策に関する約束草案政府原案を決定した。2030年に温室効果ガスの排出量を2013年比で26%削減するというものであり、6月7~8日にドイツで開催されるG7サミットで安倍首相が国際社会に向けて発表する予定と聞く。 続きを読む
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2015/03/04
中国は温暖化対策にコミットしたのか?
昨年11月12日、米国オバマ大統領の訪中に際して、習近平国家主席と共同で地球温暖化対策の目標を発表し、注目を集めた。米国が「2025年までに2005年比で温室効果ガスの排出量を26~28%削減する」ことを目指す(intend to achieve)と発表する一方で、 続きを読む
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2014/03/12
EUの2030年40%削減目標は野心的か?(第3回)
「国家」ではないEUの掲げる目標は同等か?ウクライナはEUに入るか?
最後に、EUが2030年目標達成のために取りうるいまひとつのウルトラCについて紹介しよう。記述のようにEUは、京都議定書の第一約束期間をコミットした当時の15カ国から、東欧諸国が新規加入してEU27になったのだが、その際に東欧諸国で90年代の社会改革に伴って積上げたGHG排出削減量約4億トンを、EUの90年比削減量として取り込んでいる。 続きを読む
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2014/03/07
EUの2030年40%削減目標は野心的か?(第2回)
EUの2030年目標を分析して見ると・・2030年目標案~ハイブリッド方式
それではいよいよ今回発表された2030年目標案について検討してみよう。 続きを読む
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2014/03/03
EUの2030年40%削減目標は野心的か?(第1回)
EUの現在までの実績の内実は?去る1月22日、EUは2030年に向けての気候変動とエネルギーに関する新たな目標の案を発表した。今後この目標案はEU内部で欧州理事会(European Council)、EU議会(European Parliament)の審議を経て2014年末までに加盟各国間による正式に合意することを目指している。 続きを読む
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2013/07/10
2013年6月 ボン国連作業部会見聞録
「ドーハの悲劇?」復讐劇~COPプロセスの「終わりの始まり」6月3日~14日、ドイツ、ボンのMaritim Hotelで国連気候変動枠組み条約の特別作業部会が開かれ、11月にワルシャワで開催されるCOP19に向けて最後の事前交渉が行われた。筆者も経団連代表として6月11日から最後の3日間、参加してきたので、現地での見聞録を報告したい。なお、日本政府による交渉成果に関するまとめは外務省ホームページに詳しく報告されているのでご参照いただきたい。 続きを読む
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2013/06/07
地球温暖化が止まっている?
エコノミスト誌記事が引き起こす波紋(「月刊ビジネスアイ エネコ」6月号からの転載。)
「微妙な問題」
本年3月30日付の英「エコノミスト」誌が上記タイトルの記事を掲載して静かな波紋を引き起こしている。いわく「温室効果ガスの排出が増え続けているにもかかわらず、過去15年以上地表の大気温度は横ばいを続けている」。 続きを読む
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2013/01/25
COP18の概要~産業界の視点(第3回)
(第2回目は、「COP18の概要~産業界の視点(第2回)」をご覧ください)
これまで見てきたように、対立の構図が激化してなかなか進まない全体交渉に対して、ビジネスの世界では、日々の事業活動を通じて、省エネ技術の世界的普及や激甚災害への適応や対処など、現実のビジネス活動を通じて温暖化対策が進められている。 続きを読む
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2013/01/23
COP18の概要~産業界の視点(第2回)
(第1回目は、「COP18の概要~産業界の視点(第1回)」をご覧ください)
「宗教」になっている京都議定書
国民の税金を使った膨大な資金協力の実績を示した日本が「化石賞」で批判される一方で、京都議定書第二約束期間への参加に逡巡していた豪州が、最終的に参加を決めたことは、途上国やNGOから賞賛と喝采を持って受け止められていた。 続きを読む