環境と経済が両立に向かう『土壌汚染対策』とは(その7)

経済問題との関連②:会計・非財務・融資


株式会社FINEV(ファインブ)代表取締役

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≪統合報告≫

 近年、主として投資家に対し、企業が長期にわたりどのように価値を創造するかについて簡潔に説明した統合報告書が注目されてきています。2013年12月には国際統合報告評議会から国際統合報告フレームワークが公表され、世界的にも統合報告書の発行が増加しています。国際統合報告フレームワークでは、企業活動によって影響を与えるものとして「6つの資本(財務、製造、知的、人的、社会・関係、自然)」を例示しています。このうち、自然資本に含まれているものとして土地・水が挙げられており、土壌・地下水汚染についても企業活動によって重要な影響を与える場合には説明する必要が出てくると考えられます。
 また統一的な開示が少ない非財務情報について、現在米国を拠点として活動する持続可能性会計基準機構(SASB)が、業界別の持続可能性に関する重要事項を整理しています。ここでも業種によって土地の汚染問題や生態系、有害物質等に関する項目が含まれています。
 このように、土壌汚染が財務や非財務に大きな影響を与える可能性が高い場合には、何らかの報告や開示が求められる傾向となっています。

≪金融機関の融資等≫

 土壌汚染対策法では、金融機関が汚染された不動産への融資をしていただけでは浄化等の責任や義務は発生しません。また、担保権の実行等により土地所有者となった場合には対策義務が発生する可能性がありますが、債権の回収を目的として一時的に土地を保有しているに過ぎないと認められる場合には、応急的な対策のみが求められます。
 一方、金融庁では新BIS規制に対応する金融検査マニュアルの改訂(2007年)により、担保評価額に土壌汚染等の環境リスクを留意することを求めています。このため、大手金融機関では、担保不動産の評価時には、土壌汚染リスクを考慮しています。具体的には、担保不動産の地歴や用途などから土壌汚染リスクを統計的に定量化し、担保評価額から試算額を減額するサービス等を活用して、担保評価に反映させています。地方銀行及び信用金庫等においては、土壌汚染リスクを評価し、担保評価額に反映する実務は普及していないと考えられます。
 プロジェクト・ファイナンスにおいては、国際的な金融機関の自主行動原則である赤道原則に採択している大手行の実務から、環境リスクの評価として国際金融公社(IFC)のガイドラインを準用し、土壌汚染リスクを評価・管理しています。

≪海外における金融機関の土壌汚染リスク管理≫

 米国や欧州の金融機関においては、産業用地等の融資においては独自の内部チェック・リストの確認やフェーズⅠ調査やフェーズⅡ調査の実施が定着しています。各金融機関には、環境専門家が所属しており、これらの調査報告書をレビューしています。
 米国では、有害物質の廃棄や取扱い事業者に融資した金融機関に対しても、一定の条件のもと、潜在的汚染責任者(Potential Responsible Parties, PRPs)として汚染浄化の責任を負わせる規定があります。このため、土壌汚染に対するリスク管理の取組が進んでいます。
 2013年3月には、連邦中小企業庁の融資における環境リスク評価ガイドラインが一部改訂され、中小企業向けに融資を行う地域金融機関が融資前に環境調査等を実施することが求められるようになりました。連邦住宅金融抵当公庫フレディ・マック(Freddie Mac)やファニーメイ(Fannie Mae)でも、住宅抵当証券の要件として土壌・地下水汚染の懸念の有無等を評価する環境リスク調査を求めており、融資における環境リスク調査が普及しています。

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