環境と経済が両立に向かう『土壌汚染対策』とは(その5)

法制化10年経過後の課題②


株式会社FINEV(ファインブ)代表取締役

印刷用ページ

≪国土全体の把握が未済≫

 日本国内には30万箇所を超える潜在的な土壌汚染が存在すると試算されています。一方、2003年2月に土壌汚染対策法が施行された後に、法律に基づき汚染が判明し区域指定された土地は2012年までに累計約1,600カ所に留まり、都道府県が把握した土壌汚染対策法に基づかない汚染判明事例を加えても約8000カ所になっています。
 改正法により法に基づく土壌汚染を実施する契機は拡大したものの、法対象となる土地は一定規模(3,000㎡)以上の土地の形質変更時に限定されていることから、小規模敷地の開発時には土壌汚染の公的な実態把握は進んでいません。
 土壌汚染の存在は、その土地に住む人の健康への不安はもとより、不動産取引関係者にとっても不安大きなリスク要因の一つです。このため、土壌汚染実態の把握が進まないことは、土壌汚染の懸念がある土地の取引、さらにそのような土地が集まった地域の開発にも影響を与えるおそれがありますことになります。
 環境省から平成20年3月に公表された「土壌環境施策に関するありかた懇談会報告」における現状と主な課題として以下のような言及しました。

『土壌汚染は、不動産の資産価値に関わり、経済的側面が大きく、各方面においてその取扱いの重要性が増している。(中略)
我が国では土壌汚染への取組の歴史が比較的浅いことから、このようなブラウンフィールドは、現時点ではそれほど顕在化していないと考えられるが、狭隘な我が国の場合、工場跡地等が住居・商業地等として利用される場合が多いので、諸外国のように問題となる可能性がある。
 こうしたことから、汚染の状況や土地利用の目的に応じて有効に土地の利活用が図られるように幅広い関係者が連携して取り組んでいく必要がある。
企業経営や高齢化に向けた都市再生にとっても利便性の高い土地が活用されずに機会損失につながっている。』

 上述した2008年時点には顕在化していなかった問題が、5年経過した現在、急速にその問題が現実的になっていのではないかと考えられます。
 このような状況をみると、早期に調査を実施する必要性だけが強調されがちですが、連載の前半でも紹介したいように、土壌汚染の調査が進まない理由は経済的な要因に大きく関連しています。
 したがって、軽微な汚染を過大なコストをかけずに適切に管理する仕組みや土地利用に応じた基準等の設定等、総合的な解決策を整備することが必要になっているといえるのではないでしょうか。

記事全文(PDF)


ページトップへ