「夢の原子炉」はどこへ?

エネルギー基本計画における「もんじゅ」の位置づけに思う


国際環境経済研究所主席研究員

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 放射性廃棄物の減容化や有害度の低減の意義を否定するつもりはないが、高速増殖炉の位置づけが、桁違いに矮小化されたという印象を禁じえない。

 一方、平成25年9月に原子力科学技術委員会もんじゅ研究計画作業部会がとりまとめた「もんじゅ研究計画」には次のような記述がある。

エネルギー安全保障の観点に立てば、将来にわたって持続的なエネルギーオプションを確保しておくことは重要である。高速増殖炉は、発電のためのウラン資源の輸入を不要とすることができ、ウラン資源の獲得競争や価格高騰のリスクを回避・緩和できる。したがって、「もんじゅ」については、高速増殖原型炉として、適切な管理・運転を通じて、ナトリウム冷却発電プラントとしての技術実証を示すことで研究成果を取りまとめ、我が国として高速増殖炉技術を確立・継承する意義は大きい。

出典:もんじゅ研究計画(平成25年9月)

 このもんじゅ研究計画は政策そのものではなく、エネルギー政策の検討に資するものとして作成されたものであるが、エネルギーオプションとしての高速増殖炉の意義が語られている(この「もんじゅ研究計画」は、高速増殖炉の意義、経緯や国内外の動向等がまとめられており、立場を超えて参考になるものと感じた)。

 しかし、エネルギー基本計画でのもんじゅの位置づけは前述のとおり廃棄物の減容化・有害度低減のための国際的研究拠点であり、高速増殖炉のエネルギー利用の可能性については否定も明確な肯定もされていない。筆者の印象としては「再処理やプルサーマル等の推進」の「等」に含まれると読めたが、どうも曖昧である。エネルギー基本計画全体の内容からすれば、高速増殖炉は論点のごく一部にすぎないため、深入りした記述はできないだけかもしれないが、ひねくれた見方もできる。本音では高速増殖炉のエネルギーオプションとしての可能性を残したいものの、面倒な議論を回避して曖昧な表現にとどめ、一方で放射性廃棄物の減容、有害性の低減といった当たり障りのない目的を掲げて、とりあえずもんじゅの存続を図っておくという意図に見えないこともない。そうだとすればいささか姑息に感じられる。また、存続を図るにしても、減容化と有害性の低減に依拠するのは心もとない。
 もはや、そもそも論で勝負すべきではないだろうか。高速増殖炉はエネルギーの安定供給に資するという期待があったからこそ研究開発が行われてきた。これが本質であろう。その考え方は今も通用するのか、状況は変わったのか。どちらにせよ、我が国のエネルギーの安定供給という本質的な目的に照らして、真正面から判断されるべきだと思う。

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