「夢の原子炉」はどこへ?

エネルギー基本計画における「もんじゅ」の位置づけに思う


国際環境経済研究所主席研究員

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 しかし、この7分の1というのは、使用済燃料をそのまま処分する直接処分と比較したものである。軽水炉再処理でも直接処分と比較して約5分の1程度に減少している。つまり、再処理してガラス固化すれば、直接処分よりも大きく減容できるということだ。そのうえで正味の高速増殖炉(FBR)による低減効果を示すのであれば、軽水炉再処理と比較すべきであり、その場合の低減効果は概ね約3割減(目測だが)といったところだろうか。
 もともと、高レベル放射性廃棄物はその体積の小ささがひとつの特徴である(有害度は高いが嵩は小さい)。原子力発電環境整備機構のパンフレットによれば「家庭や工場などで利用するすべての電力の半分を原子力発電でまかなうとした場合、発生するガラス固化体の量は、日本人一人の一生(80 年とします。)あたり、ゴルフボール約3個分に相当します」注1)とあるので、3割減ならゴルフボール1個分減るか減らないかである。人が一生のうちに排出する廃棄物のうち、ゴルフボール約1個分の体積が減少することの意味はどれほどだろうか。

 もうひとつ、有害度の低減については、「廃棄物が天然ウランと同程度の放射線毒性になるのに要する期間(有害期間)について、直接処分とした場合に約10万年必要であるところ、高速増殖炉/高速炉再処理では、約300年に短縮できる可能性がある」とのことである。

出典:もんじゅ研究計画(参考資料2-2)

 これも、約10万年から約8000年までの軽減効果は、再処理-ガラス固化によるものであり、高速増殖炉による正味の貢献分は、約8000年から約300年の部分だろう。それでも低減効果は大きいように感じられるが、ある時点における潜在的な有害度を比較した場合には印象が変わる。例えば100年後の時点でガラス固化体(軽水炉)とガラス固化体(FBR)を比較すると、有害度は10分の1にもなっていない。同様にある時点での有害度の違いをみると、差がある時期でもせいぜい数十分の1程度である。結局のところ、高レベル放射性廃棄物の地層処分に必要なバリアの性能などは、大きくは変わらないのではいだろうか。

注1) 出典:原子力発電環境整備機構「放射性廃棄物の地層処分事業について~公募のご案内~」第一分冊


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