COP18 関西経済連合会COP初参加


国際環境経済研究所主席研究員

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 COP18が終わって2ヶ月近くが過ぎようとしているが、関西経済連合会(関経連)は今回NGOとして認定を取得し、COP18(ドーハ)に初参加したので、以下に紹介する。経済団体としては経団連が継続して参加しているが、それ以外では関経連がそれに次ぐ参加となる。初回でもあり関経連としては3名の参加で、私もその一員として参加した。参加の狙いは、COPの交渉の進捗を現地で情報収集すること、国内外の政府・関係団体と連携を通じて関経連のPRと関係強化をはかること、関西地域が優れた環境・エネルギー技術を保有していることのアピール、の3点である。

 関経連は従来から、COPの交渉に大きな関心を持ってはいたが、その活動は政府および経団連をはじめとする産業諸団体を通じての情報収集にとどまっていた。しかし、ここ数年、状況は大きく変化した。ひとつは、条件付きながら2020年に1990年対比CO2排出-25%という日本の削減目標が提示されたことであり、もうひとつは大震災が起き、その後に電力料金が2倍以上にもなるという中期目標が提案されたことであり、これも国際的視点からの“意欲的”なCO2排出削減目標が折りこまれたことによるものであった。もともと関西は中小の製造業が占める比例が高く、エネルギーとりわけ電力の供給事情に、企業の経営は大きな影響を受けやすい体質を持っており、状況の変化は、関経連が気候変動の国際交渉に、より前向きに取り組む大きなきっかけとなった。このような背景からCOPへの登録申請を一昨年からおこなっていたが、昨年10月になってようやく認定の連絡があり、あわただしくCOP18に参加できたものであった。

 参加に先だって昨年11月に、「気候変動に関する包括的な国際枠組み構築に向けた意見」が関経連から公表された。意見書では、環境と経済の両立が確保された公平で真に実効ある国際枠組みの構築に向けた交渉を期待するとともに、特に2国間オフセット・メカニズムの構築への期待と、関西の有する優れた環境・エネルギー技術の活用による世界の持続的な発展と地球環境問題の解決への貢献が謳われた。COP会場においては、政府間交渉の情報収集とともに、経団連の拘わるサイドイベントを事務局の一員として支援し、また、関経連と関連する団体のブースにて、前掲の意見書と、関経連会員会社が保有する環境関連技術を集めた「関西の環境・エネルギー技術と製品」パンフレットを配布した。

 周知の通り日本の産業は、自らの生産プロセスのエネルギー効率の改善を強力に進めてきた、また、その過程で、計測技術をはじめとする数多くの技術もまた、日本の産業により世に送り出されてきた。また、これらの重層的な省エネ技術の蓄積が、現在の世界に冠たる高エネルギー効率の日本を造り上げ、また、これらの技術は競争力のある製品群を生み出してきた。関西には環境・エネルギー関連の産業が多く立地している。環境・エネルギー技術には規模が大きく世界的に知名度の高いものも多いが、国内では良く知られていても生産している企業の規模が小さかったり、手がかりが無いために、海外への展開が思うに任せないケースも多いが、関西にはこのような企業が多く位置している。関経連は従来から、特に中堅・中小会員企業の発展に海外展開は不可欠という考えから、「環境先進地域、関西」として、事業支援の活動をおこなってきており、COPにおいても紹介を試みたが、予想外に良好な反応があった。

 これまでNPOとして数回参加したが、COPはやはり政府間交渉の場で、産業界は炭素価格付けを指向する人たちが情報収集に集まるところ、という印象であった。しかし、今回関係団体のブースを借りて配布した数百部準備した前掲のパンフレットは三日間ではけた。途上国の政府関係者を中心に、個別技術への関心が高いことに驚かされ、また、会期中に意見交換した、UNEP、途上国政府のいずれも実務レベルの参加者からは、炭素価格付けは途上国への技術移転の促進の有効な方法と考えているが、唯一ではなく、個別の良い技術が早く普及することを実現できる方法を協議することが重要で実績もある、との意見や、某国製の省エネ設備を安価故に導入したが短期間に不具合が出て、結局高くつく事例が頻出しており、なんとか日本の技術を導入する方法を相談したい。国際的枠組みの構築と並んで、たとえば日本のBOCMのような2国間の協定による技術導入には期待している、との意見も聞くことができた。

 これから工業化が進む途上国には莫大な省エネポテンシャルが存在するが、一旦効率の悪い設備が設置されてしまうと相当な長期間、大切な削減ポテンシャルを浪費してしまうことになる。日本の技術がポテンシャルを最大限に生かすことは疑う余地が無い。普及の拡大には、コストを抑える努力が不可欠なことは言うまでもないが、それと並行して、具体的技術の存在を広く、繰り返し紹介し、大きな省エネの可能性があることを示し続けることが、日本の産業に課せられた義務であろう。

 COP18は、官民連携が目立つようになったCOPとも言われている。CO2課題は経済課題そのものであり、産業界と政府の連携無くしては実効ある前進は実現できないことが、やっと理解され始めたようである。今後COPの場において、国際的枠組みの交渉にさらに産業が参加することになることが期待されるが、併せて、環境対応技術についての具体的な官民での意見交換も、COPの一つの役割ではないだろうか。関経連では「技術こそが地球環境を救う」との認識のもと、今後とも環境関連技術の体系的な紹介を継続して行く方針であり、COPもその一つの場として検討している。

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